妊娠から出産まで

じゅぬびえーぶは1997年・1998年に
家の近くのフランスの公立病院で2児を出産しました。
自分の体験をもとに
妊娠から出産までどんなことをフランスではやるのか
ここにざっくりとまとめてみました。

*その他もっと詳しくお知りになりたい方・疑問点etcありましたら、お気軽に掲示板・メールにてお尋ねください。

妊娠!?病院選び…そして初診

フランスで妊娠!?
と思ったらまず自分でテストを。
日本と同様、妊娠検査薬が出回っています。
薬局で「G Test!」または「Test de Grossesse!」と言えば出してくれます。
医者の処方箋はもちろん不要です。そこで、所定の「妊娠してマース!」というマークが出たら…おめでとうございます!
いよいよ医者選びです。

医者選び
こちらでは、初めから総合病院へ行くことはありません。
まず、街のあちこちにある、またはかかりつけの「婦人科医Gynecologie」へ電話予約を入れてから、受診します。
かかりつけが無い場合は、近所を歩いてみて探すか、ご近所さんのお勧めを聞いてみるとか、薬局・イエローページも頼りになりますので、
女性として1軒かかりつけの婦人科医をみつけておきましょう。
パリならば、日本語で受診でき出産まで助けてくれる産婦人科(内科・小児科)医もいます。

婦人科医Gynecologieで
その「婦人科医Gynecologie」で、第1回目の問診・内診を受けます。
フランス人の婦人科医でしたら日本のように「おめでとうございますぅ!」と感激してくれないのが普通で、気抜けしますがこんなもんです。
そこで、妊娠を確定するための第1回目の血液検査・エコグラフィー(いつ頃受けるべきなのか確認要)のオーダー用紙が出されます。
血液検査は臨床検査所Laboratoire d'anaiyses medicales(Laboラボで通じる)、エコグラフィーはそれを扱っている放射線検査所へ、改めて予約を取って検査を受けます。
これらは「婦人科医Gynecologie」と同じく必ずあちこちにありますので自分で探すか、薬局へ行くと住所をアドバイスしてくれます。

大事な書類
婦人科医Gynecologieでもらうべき大事な書類がもうひとつ!
妊娠証明書(Certificat de Grossesse)です。4枚つづりの複写式の用紙で、「Vous attendez un enfant」なんて書かれています。
これを最寄のセキュリテソシアルの事務所と家族手当金庫(Casse d'allocations familiales)へ送ることで、妊娠出産育児についての医療補助・給付金を受けられるようになります。
しかも、妊娠14週目までに送らなければ、ア・ウ・トなので注意が必要です!
ただ慎重な医者だと初診では出してくれないこともあります。単に忘れている場合も多いので、そのときには一声かけてみましょう。

ひとこと!
妊娠初期の2・3ヶ月は、妊娠による体の変化に加え、初めての産婦人科通い・諸所の手続きetc、わからんことまみれで、正直、かなりうろたえますが、それを乗り越えれば楽勝です!
だから、ここまでこなせば、あとは難しいことはナシです。
困ったときには遠慮せず周りの人に相談しましょう。・・・ああ、私もお世話になった人たちの麗しいお顔の数々が、まぶたに浮かぶようだわッ!感謝してます!

妊娠中のタイムテーブル

じゅぬびえーぶがわけもわからぬままこなしていった妊娠中の診察・手続きの簡単なメニューを書き出してみます。

仏式月齢 診察・検査 その他
2ヶ月 自分でDoTest、Dr選び、初診察、血液検査、第1回エコー 妊娠?
3ヶ月 定期検診、血液検査 妊娠確定!
育児手当申請
母親学級申し込み
4ヶ月 定期検診、 血液検査  
5ヶ月 定期検診、 血液検査、第2回エコー 安定期
里帰り適齢期
6ヶ月 定期検診、 血液検査  
7ヶ月 定期検診、 血液検査、第3回エコー フッ素・鉄剤
ビタミンB
処方される
8ヶ月 定期検診、 血液検査、麻酔科受診  
9ヶ月 定期検診+α、血液検査  
これは順調で、余分な検査・処置をしなっかた場合の一例です。
定期検診では、問診・内診・尿検査・体重測定などが行われます。

妊娠月齢の数え方の違い
日本では古来より、子供はトツキトウカすれば生まれる!
すなわち10ヶ月と10日が一般的な妊娠期間といわれてきましたが、フランスでは9ヶ月といわれます。
単に数え方の違いなので、所変われば妊娠期間も変わる・・・わけではありません。
考えれば考えるほど数字が頭で踊りだすので、単に日本式から1月ひくという数え方で納得しといたほうがいいでしょう。
どーしても理屈を知りたいという奇特な方のために、下にちょいと書き出してみました。
  日本式 フランス式
受胎日の
算出法
最終月経の第1日目から数え始める。
 しかし、実際に妊娠が成立する時期
   は、最終月経の第1日目よりおよそ2週
   間後。

最終月経の第1日目から2週間後を受胎日とあたりをつけるが、エコグラフィーの諸々の数値から算出された受胎日・妊娠月週のほうに重きをおかれる。

分娩予定日
算出法
最終月経から約280日後(40週後)に分娩予定日が設定される。
 ネーゲレの分娩予定日計算法;
       最終月経の初日に7日を加え、
                    月から3を引くか9を足す。
日本式と同じ
例えば
妊娠3ヶ月
って?
数え年の考え方を持ち込んでいる。
 妊娠第3月というのは、3ヶ月と何日かが経ったのではなく、2ヶ月と何日かが経ったことを意味する。
もちろん数え年なんてものは無いので、妊娠3ヶ月といえば、3ヶ月と何日かが経ったことを意味する。
分娩予定日の
意味
その前後の2週間以内に9割の確率で分娩が終わるという意味。
予定日を更に2週間以上(第42週を)過ぎ、胎児が大きくなり過ぎたといった問題が認められた場合、誘導分娩の適応となる。
日本で言う妊娠第42週目にあたるのが、フランスの分娩予定日。
これを過ぎると、日本と同じく何らかの問題が認められた場合、誘導分娩の適応となる。
  • 月齢の違いの原因となっている点を色を変えています。
  • 正しくは日・仏では2週間のずれがあるわけだが、数え年云々で更にスレ込むのがホントの所。
  • 分娩予定日の持つ意味もずいぶん違うので、日本のつもりでのんびりしていたら、予定日を過ぎいきなり陣痛促進して分娩!となったりして、慌てふためかないように(私は慌てました(笑))。

各種検査

毎回の定期健診では、血液・エコグラフィー・尿などあらゆる検査結果をとうして、
無事妊娠が継続されているか、胎児は順調に成熟しているかを診ていきます。

問診
  • 住所・氏名・職業・年齢・生年月日・結婚年齢等
  • 家族歴;糖尿病・アレルギー・心臓病・静脈瘤・先天性異常などが特に聞かれる
  • 既往疾患;上記疾患など
  • 月経の状態;初経の年齢、順調かどうか・量・月経周期など
  • 既往の妊娠・分娩・産褥の経過;妊娠回数・流産や合併症の有無など
  • 今回の妊娠経過;最終月経の確認・つわりの有無・合併症の有無など
内診 毎健診時のメインイベント。
産道の状態・子宮の大きさや硬さや形・子宮口の着色の有無などを調べる。
児心音のドップラー お腹の上から超音波ドップラー装置(棒状のもの)を当て、児心音・齋帯雑音・胎動音・母体子宮雑音等を聴取する。
血液検査 血液型・感染症の有無・血中タンパク量・糖尿病や免疫疾患の有無などを調べます。
何も問題が無くても、少なくとも妊娠中3回は検査のオーダーが出されます。

ここで特に注意が必要な2つの事についてあげておきます。

トキソプラズマ

トキソプラズマ症とは「トキソプラズマゴンディー原虫」の寄生による疾患。細胞内で増殖する原虫であり、犬・猫が感染源と考えられているが、牛・羊・豚などの食用動物が感染し、また鳥・ゴキブリ・ハエなども媒介する。
成人が感染した場合無症状のことも多いが、妊婦がトキソプラスマ初感染を起こすと胎盤を通じ胎児に感染し、さまざまな障害を引き起こし死早産の原因となる危険がある。
トキソプラズマ未感染(−)のことが日本育ちの女性の場合普通(フランス人は+が多い)。妊娠中に感染しないための注意として、
@生肉・ソシソン・カビのきついチーズはべない。(肉はよく焼く!)
A生野菜・果物は念入りに洗う。
B定期検診時は追跡検査を受ける。
しかし、フランスでうるさく言われるほど、現実日本では問題にされていない、このトキソプラスマ。日本では、ほとんど感染する可能性が無い上、妊婦の初感染で胎児も感染する率も極めて低く、その内でも先天性異常・死早産などの起こる確率も更に低いため。
でも、日本より感染しやすい環境にあるのだから、賢い妊婦は注意すべきでしょう。

風疹抗体の欠如

簡単にいえば、風疹に対して免疫が無い状態。
妊娠3ヶ月までに初感染すると、通常見られる母体への臨床症状のほかに、胎児への先天性風疹症候群(白内障・心奇形・聴力障害・知能障害・小頭症など)が高頻度に起こり、19週までは聴力障害をおこす危険がある。
理想を言えば、あらかじめ妊娠前に抗体の有無を調べて予防接種の再接種などの手を打っておくのが良いが、そうでなければ風疹の流行しやすいところ(子供の多い場所)へ近寄らない事ですね。

尿検査 尿タンパク・尿糖の有無を調べる。毎回の健診時に採取する。
体重測定 毎回の健診時に測定。
日本ほどうるさく体重制限について言われないのが普通。日本では10kg以下が主流らしい。
エコグラフィー 異常が無ければ、妊娠発覚時・5ヶ月・7ヶ月に撮影と定められている。
妊娠初期には妊娠の確定、胎児がどこに付いているかなどが調べられ
更に、先天性異常の有無・胎児の大きさ・胎児の位置・胎盤の状態などがわかるようになる。
男女の区別も言えば教えてもらえる。
エコーの写真はもらっておこう!

眼科

強い近視の場合、分娩時の眼圧亢進により、緑内障や角膜剥離を生じることがあるので、場合により検査が必要。
その他の特別な検査

母体血清マーカー(いわゆるダウン症の検査)

妊娠十四週から十八週に採血し、妊婦の血液中にある胎児由来の三種類のタンパク質(AFP、hCG、uE3)を測定する検査。その値の高低で、数種の先天性異常の有無の確率が示される。異常の確率が高い場合、更に羊水検査などの精密な検査を勧められる。

フランスでは日本よりかなりメジャーだが、任意の検査。検査結果は確率なので、常に障害児が生まれる可能性は残る上、6〜15%という確率の人がいわゆる「異常あり」の範疇に含まれてしまい、いたずらに不安な妊娠期間を送り、無駄で危険な羊水検査を受ける羽目になることも。

この検査は採血だけなので安易に考えがちだが、障害の有無により中絶するか否かを迫られる、重大な検査の第一歩だ。検査を受ける前に、結果が出たらどうするかを考え受けるまたは受けない、とそこまでするべきかもしれない。

ちなみにダウン症児を妊娠する確率は、妊婦の年齢とともに高くなる。例えば20歳では1/1500(0,066%)なのに対し、30歳では1/900(0,11%)と跳ね上がる。先天性異常の種類は8000にも上るといわれているが、この検査でわかるのはほんの数種のものだけ。

羊水検査体験談

妊婦の腹壁上から羊膜腔を穿刺して羊水を採取する検査。
その性状や含有物を検査すると胎児の成熟度や病的状態を知ることができる。

実は2人目のときに受けた。
妊娠初期の第1回目のエコグラフィーで胎児の首の長さが長いや短いや、首の皮の厚さが厚いや薄いや…
とにかくダウン症の兆候が認められるということだった。

時間としては30分とかからない、行って帰ってくるだけの注射のお腹版。
といった感じだが胎児・肝臓を穿刺したり流産の可能性など、怖いことも説明され承諾書にもサインをさせられた。

そんな感じで検査自体は簡単なものだが自分のお腹の子になんらかの異常があるかも…といって受けるわけなので気持ちは、もう、ズタボロ。で、いろんな友人に話しまくったのだが、なんと!あちらこちらから「私も受けたよ―ん!」と言う声があがるではないか!

うそか、ほんとか、ただの慰めか…
モンゴル人系の顔・体つきに非常に近い日本人の子はその特徴がダウン症ではないかと、こちらのDrにはエコーなどで見間違えられるとか!?

まぁ、小さい胎児を外からの検査で、首の太さがどーの、眉間の広さがどーの、指の長さがどーの
とやるわけだから、見え方によって誤差も出てくるだろう。
もちろんダウン症だけではなく、内臓異常を疑われたり、エコーだけでなく血液検査の結果からであったり
と、いろいろなケースで羊水検査は必要とされる。
検査結果は1ヶ月ほど連絡待ち。

それにしても進んだ医療のおかげでいらん心配させられた―!って感じ。
最先端の医療を受けられるのも良し悪しやなぁ…なんて、不遜なことを言ってられるのも、子供が元気に生まれてくれたからなのだよ。

感謝、感謝。

 

母親学級

何事もケース毎の対応の違いが大きいのがフランス式で、妊娠・出産といえども例外ではない!なので、一つの経験談からいうとという感じで、参考にしてくださいまし。

 

じゅぬびえーぶの場合、習ったことといえばこんな感じ。
妊娠3ヶ月までに申し込みというのを知らず、妊娠7ヶ月にして申し込み、8ヶ月から通いだしたのですが、8回コースのうち6回行ったところで出産のほうが先になっていしまいましたよ。
内容については、「出産・新生児期の育児」の項で、詳しく書いて行きます。
妊娠・出産のメカニズム、解剖生理、各種陣痛の違い

出産当日の流れ、出産時の対応(いつ医者に行くか)、病院での出産時の様子、麻酔について、麻酔科でのいきみ方、呼吸法、会陰切開

母乳育児について

友人がたの談によると、新生児の沐浴方法、分娩室・入院室見学、団体で院内で講義が行われる場合など父親もともに参加している姿も見受けられるとのコト。

 

無痛分娩

フランスでは、無痛分娩(硬膜外麻酔)が主流です。
もちろん、自然分娩を希望することも出来ますが、何かと機会を捉えて、麻酔を勧められます・・・彼らもなれているほうがやりやすいのでしょう。

フランス式出産へまとめてみましたのでどうぞ☆

硬膜外麻酔とは。どういう状態になるの?危険は?事前の検査etc・・・

 

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